「夜中に子どもが急に熱を出した」「休日に体調が悪化したけれど、どこに行けばいいかわからない」。そんな不安を抱えたことはありませんか?福岡市には24時間対応の急患診療センターや夜間診療クリニックがありますが、いざという時にどこへ行けばいいか迷ってしまう方も多いはずです。
この記事では、福岡市で夜間・休日に受診できる医療機関を時間帯別、症状別にわかりやすくまとめました。受診前の電話相談窓口や、救急車を呼ぶべき症状の見極め方も詳しく解説しています。いざという時に慌てないよう、ぜひこのガイドをブックマークしておいてください。
この記事で分かること
- 受診前に相談できる電話窓口(#7119・#8000)
- 24時間対応の公的急患診療施設の詳細
- 夜間診療可能な民間クリニック一覧
- 症状別の適切な受診先の選び方
- 夜間・休日受診時の費用と持ち物
【まず確認】受診前の電話相談窓口で判断をサポート
夜間や休日に突然体調が悪くなったとき、「今すぐ病院に行くべきか」「救急車を呼ぶべきか」と迷う方は少なくありません。
福岡市では、24時間365日対応の電話相談窓口が複数用意されており、看護師や医師が症状を聞き取り、適切な対応をアドバイスしてくれます。受診すべきかどうか判断に迷ったときは、まずこれらの相談窓口に電話してみましょう。
緊急性の高い症状であればすぐに救急車を手配し、軽症であれば夜間診療クリニックを案内してもらえます。無料で相談できるため、不安なときは遠慮なく利用してください。
#7119(救急医療電話相談)- 24時間365日対応
#7119は、福岡県が提供する救急医療の電話相談窓口です。急な病気やケガで「救急車を呼ぶべきか」「今すぐ病院に行くべきか」と迷ったときに、看護師や医師が電話で相談に応じてくれます。
福岡県救急医療情報センターが運営しており、福岡市を含む福岡県内全域で利用できます。相談は24時間365日いつでも可能で、通話料のみの負担で相談料は無料です。
編集長意外と一般的に知られていない#7119ですが、実は素晴らしいサポートなのです!
どんな相談ができる?使い方と対応内容
#7119に電話をかけると、音声ガイダンスが流れます。用途に応じて番号を選択してください。
- 「1番」を選択:医療機関案内窓口(オペレーター対応)
- 「2番」を選択:救急相談窓口(看護師対応)
「1番」を選ぶと、症状に応じて現在受診可能な最寄りの医療機関を案内してもらえます。夜間や休日に診療している病院を自分で探す手間が省けるため、とても便利です。
「2番」を選ぶと、救急医療機関での経験を持つ看護師が対応し、救急車を呼ぶべきか、病院で診療を受けるべきかなど、具体的なアドバイスをしてくれます。
相談できる内容は以下の通りです。
- 急な病気やケガに関する相談
- 医療機関受診の緊急度判定
- 救急車利用の必要性についてのアドバイス
- 現在受診可能な医療機関の案内
ただし、服薬についての相談や心の病気に関する相談は対応していませんので、ご注意ください。
電話番号は以下の2つがあります。携帯電話やスマートフォンからは短縮ダイヤル「#7119」が便利ですが、ダイヤル回線やIP電話からは専用番号「092-471-0099」をご利用ください。
なお、聴覚や発話に困難がある方は、電話リレーサービスの活用が可能です。ただし、事前登録が必要ですので、福岡県の公式サイトで詳細をご確認ください。
福岡県公式サイト「福岡県の救急医療電話相談窓口」では、最新の利用方法や注意事項が掲載されています。
#8000(小児救急医療電話相談)- 子どもの急病専用
小さなお子さんの急な発熱や嘔吐、けいれんなどで不安になったときは、#8000(小児救急医療電話相談)をご利用ください。子どもの症状に特化した相談窓口で、経験豊かな看護師、または必要に応じて小児科医が対応してくれます。
夜間や休日に子どもの体調が急変すると、保護者の方は大変不安になります。「この症状で病院に行くべきか」「朝まで様子を見ても大丈夫か」といった判断を、専門的な知識を持つ看護師や医師がサポートしてくれるため、安心して相談できます。
対応時間と相談できる症状の目安
#8000は、年中無休で以下の時間帯に対応しています。
特に日曜・祝日は朝7時から翌朝7時まで対応しているため、実質24時間相談が可能です。深夜に子どもの容態が急変したときでも、すぐに相談できる体制が整っています。
相談できる主な症状は以下の通りです。
- 急な発熱(38度以上の高熱など)
- 下痢や嘔吐が続く
- けいれんを起こした
- 呼吸が苦しそう、ゼーゼーしている
- 激しく泣き続けている、ぐったりしている
- 頭を強く打った
- 誤飲や誤って異物を飲み込んだ
ただし、以下の内容については対応できませんので、ご注意ください。
- 服薬についての相談
- 心の病気に関する相談
- 医療機関の案内(医療機関を探す場合は#7119へ)
また、福岡県では新生児の保護者に対し、市町村を通じて「福岡県小児救急医療ガイドブック(2024年度版)」を配布しています。このガイドブックには、症状別の対処法や受診の目安が詳しく掲載されているため、手元に置いておくと便利です。
福岡県公式サイト「子どもの急な病気に困ったら…小児救急医療電話相談(#8000)」では、利用方法や症状別のアドバイスが掲載されています。
すぐに救急車を呼ぶべき症状チェックリスト
中には一刻を争う症状もあります。以下のような症状が見られる場合は、迷わずすぐに119番通報し、救急車を呼んでください。電話相談よりも、直接救急車を要請することが最優先です。
大人の場合の危険なサイン
大人の方で以下のような症状が見られる場合は、命に関わる可能性があります。すぐに119番通報してください。
- 意識がない、または反応がない
- 呼吸が止まっている、または呼吸困難
- 胸の激しい痛み、圧迫感
- 突然の激しい頭痛
- 顔半分が動かない、ろれつが回らない
- 手足の動きが悪い、または動かない
- けいれんをおこした、またはけいれんしている
- 大量の出血が止まらない
- 吐血している
- 我慢できないほどのひどい痛み
これらの症状は、脳卒中、心筋梗塞、大量出血などの重篤な状態を示している可能性があります。一分一秒を争う状況ですので、ためらわずに救急車を呼びましょう。
子どもの場合の危険なサイン
お子さんに以下のような症状が見られる場合も、すぐに119番通報してください。
- 意識がない、または呼びかけに反応しない
- 呼吸が止まっている、または非常に弱い
- 顔色が真っ青、または唇が紫色
- けいれんが5分以上続いている
- 激しい嘔吐や下痢で、ぐったりしている
- 頭を強く打って、その後意識がもうろうとしている
- 異物を飲み込んで、呼吸が苦しそう
- 高い場所から転落した
小さなお子さんは自分で症状を説明できないため、保護者の方が注意深く観察することが大切です。「いつもと様子が違う」「ぐったりしている」と感じたら、迷わず救急車を呼びましょう。
救急車を呼ぶべきか迷ったときは、前述の#7119(大人の場合)や#8000(子どもの場合)に相談してください。緊急性が高いと判断されれば、オペレーターがすぐに救急車の手配を案内してくれます。
福岡市消防局では、全国版救急受診アプリ「Q助(きゅーすけ)」の活用も推奨しています。スマートフォンで症状を入力すると、緊急度を4段階で判定し、緊急度が高い場合はアプリから直接119番通報も可能です。事前にダウンロードしておくと、いざというときに役立ちます。
福岡市の公的急患診療施設(24時間・休日対応)
福岡市では、夜間や休日に急な病気やケガをした際の受け皿として、公的な急患診療施設が充実しています。
中心となるのが、福岡市早良区百道浜にある「福岡市立急患診療センター」です。こちらは内科・小児科を中心に、平日夜間から翌朝まで、そして休日は24時間体制で診療を行っています。
さらに、市内7区のうち5区には区ごとの急患診療所があり、休日の日中を中心に診療を提供しています。
これらの公的施設は、一般社団法人福岡市医師会が運営しており、応急的な処置を目的とした一次救急医療機関として機能しています。民間のクリニックが休診している時間帯でも、安心して受診できる体制が整っています。
福岡市立急患診療センター(早良区百道浜)
福岡市立急患診療センターは、福岡市の夜間・休日救急医療の中核を担う施設です。福岡市早良区百道浜1丁目、福岡タワーの近くに位置し、内科・小児科・外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科の6科目で急患対応を行っています。
平日夜間は19時30分から翌朝6時30分まで、休日(日曜・祝日)は朝9時から翌朝まで診療しており、年末年始や盆の期間も含めて、ほぼ24時間体制で市民の健康を守っています。一般社団法人福岡市医師会が運営し、応急的な処置を目的とした一次救急医療を提供しています。
診療時間と対応診療科目一覧
福岡市立急患診療センターの診療時間は、曜日や時期によって異なります。以下の表で詳細をご確認ください。
診療科目ごとの詳しい対応時間は以下の通りです。
- 平日(月曜~金曜):内科・小児科が19:30~翌朝6:30
- 土曜:内科が19:00~翌朝7:30、小児科が17:00~翌朝7:30
- 日曜・祝日:内科・小児科・外科・産婦人科が9:00~翌朝7:30、眼科・耳鼻咽喉科が9:00~23:30
- 年末年始(12月31日~1月3日):内科・小児科・外科・産婦人科が9:00~翌朝7:30、眼科・耳鼻咽喉科が9:00~23:30
- 盆(8月13日~8月15日):内科・小児科が19:00~翌朝7:30
このように、内科と小児科はほぼ毎日夜間から翌朝まで対応しているため、急な発熱や腹痛などの症状で困ったときにいつでも受診できます。外科や産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科は休日を中心とした対応となっていますので、受診前に診療科目と時間をご確認ください。
福岡市公式サイト「急患診療センター・急患診療所」(更新日:2025年9月16日)では、最新の診療時間や注意事項が掲載されています。
ネコの目システムで待ち時間をリアルタイム確認
福岡市立急患診療センターでは、「ネコの目システム」という便利なサービスを提供しています。これは、現在の受付番号や診察待ち人数をインターネット上でリアルタイムに確認できる仕組みです。
受診前に自宅やスマートフォンから待ち時間の目安を確認できるため、「今行ってもすぐに診てもらえるか」「混雑しているから少し待ってから行こう」といった判断ができます。特に小さなお子さんを連れて受診する場合、待合室で長時間待つのは負担になりますので、事前に混雑状況を把握しておくと安心です。
ネコの目システムは、内科、小児科、耳鼻咽喉科の3科目に対応しています。受付後に番号が発行され、その番号がシステム上に表示される仕組みです。ただし、電話での予約はできませんので、受診の際は直接センターへお越しください。
ネコの目システムは以下のURLからアクセスできます。
福岡市医師会公式サイト「急患診療センターを受診する前に!」でも、ネコの目システムの使い方や注意事項が詳しく紹介されています。
アクセス方法と駐車場情報
福岡市立急患診療センターは、福岡市地下鉄空港線の西新駅が最寄り駅です。西新駅から徒歩約15分、または西鉄バス「福岡タワー南口」バス停から徒歩約3分の場所にあります。福岡タワーのすぐ近くですので、目印にしてください。
お車でお越しの方のために、センターには駐車場が完備されています。ただし、休日や夜間は混雑することがありますので、公共交通機関のご利用も検討してください。特に年末年始やインフルエンザの流行期は、待合室も駐車場も大変混み合います。
受診の際は、健康保険証またはマイナンバーカード(マイナ保険証)を必ず持参してください。マイナ保険証を利用すれば、オンライン資格確認により高額療養費制度の限度額認定証が不要になるため、手続きが簡単です。
福岡市立急患診療センターはオンライン資格確認システムを導入済みですので、安心してマイナ保険証をご利用いただけます。
また、普段飲んでいるお薬がある方は、お薬手帳も忘れずにお持ちください。医師が正確な診断や処方を行うために、服薬歴の情報は非常に重要です。
各区の急患診療所(休日・年末年始対応)
福岡市内7区のうち、東区、博多区、南区、城南区、西区の5区には、それぞれ区ごとの急患診療所が設置されています。これらの診療所は、主に休日(日曜・祝日)の日中を中心に診療を行っており、年末年始の一部期間は夜間まで対応する診療所もあります。
各区の急患診療所は、百道浜の急患診療センターに比べて自宅から近い場合が多く、軽症の場合は区の診療所を利用すると便利です。ただし、診療科目や時間帯が限られているため、受診前に対応しているかどうかを確認することをおすすめします。
東区・南区の急患診療所(内科・小児科対応)
東区と南区の急患診療所は、内科と小児科の両方に対応しています。子育て世帯にとっては、小児科が受診できる貴重な施設です。
東区と南区にお住まいの方で、日曜・祝日に子どもが発熱したり体調を崩したりした場合は、これらの診療所が便利です。年末年始は夜11時30分まで診療時間が延長されるため、大晦日や三が日に具合が悪くなった場合も安心です。
博多区・城南区・西区の急患診療所(内科のみ)
博多区、城南区、西区の急患診療所は、内科のみの対応となっています。中学生以下の子どもの場合は、小児科の受診が推奨されるため、百道浜の急患診療センターや東区・南区の診療所をご利用ください。
博多区の診療所は、JR博多駅前の便利な立地にあるため、交通アクセスが非常に良好です。ただし、年末年始は休診となりますので、その期間は百道浜の急患診療センターをご利用ください。
城南区の診療所も年末年始は休診ですが、西区の診療所は年末年始も夜11時30分まで診療を行っています。西区にお住まいの方は、年末年始も安心して受診できます。
中央区・早良区は急患診療センターを利用
中央区と早良区には、区ごとの急患診療所は設置されていません。これらの地域にお住まいの方は、早良区百道浜にある福岡市立急患診療センターをご利用ください。
急患診療センターは市内全域をカバーする中核施設として、内科・小児科・外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科の6科目で対応しており、ほぼ24時間体制で診療を行っています。中央区や早良区は急患診療センターへのアクセスが比較的良好ですので、夜間や休日に体調を崩した際はこちらをご利用ください。
歯科急患診療所(中央区)
休日に急に歯が痛くなったり、歯が欠けたりした場合は、中央区大名にある歯科急患診療所が対応しています。福岡県歯科医師会館の中にあり、日曜・祝日、年末年始、盆の期間に診療を行っています。
休日の歯の痛みに対応
歯科急患診療所は、主に休日の応急処置を目的とした施設です。虫歯の激しい痛み、歯の脱臼、詰め物が取れた場合など、急を要する歯のトラブルに対応しています。
受診の際は、健康保険証を忘れずにお持ちください。診療は応急的な処置が中心ですので、休日明けにはかかりつけの歯科医院で本格的な治療を受けることをおすすめします。
場所は、福岡市地下鉄空港線の赤坂駅または天神駅が最寄り駅で、天神地区からアクセスしやすい立地です。お車でお越しの方は、周辺のコインパーキングをご利用ください。
福岡市公式サイト「急患診療センター・急患診療所」では、歯科急患診療所を含むすべての公的急患診療施設の最新情報が掲載されています。
夜間診療可能な民間クリニック(20時以降対応)
公的な急患診療施設に加えて、福岡市内には夜間遅くまで診療を行っている民間クリニックもあります。
仕事帰りに体調が悪くなった、夜になって症状が悪化したといった場合に、20時以降も診療しているクリニックは大変心強い存在です。公的施設ほどの大規模な体制ではありませんが、比較的軽症の風邪や発熱、腹痛などであれば、これらのクリニックで診察を受けることができます。
ここでは、診療終了時間が20時以降の民間クリニックを、時間帯別にご紹介します。特に、救急科を標榜するクリニックや、22時まで診療可能なクリニックなど、緊急時に頼れる施設を中心にまとめました。
22時まで診療可能なクリニック
福岡市内で最も遅い時間まで診療を行っているのが、22時まで対応しているクリニックです。仕事が遅くなった日でも受診しやすく、夜間の急な体調不良にも対応できます。
ラピスクリニック天神(平日22時・土日祝18時まで)
ラピスクリニック天神は、福岡市中央区天神にある内科・総合診療のクリニックです。2024年に「天神駅前まめクリニック」から名称変更しましたが、診療時間や電話番号は変わっておらず、引き続き夜遅くまで診療を行っています。
最大の特徴は、平日22時まで診療している点です。福岡市内で平日22時まで対応しているクリニックは非常に珍しく、仕事で帰宅が遅くなる方にとって貴重な選択肢となります。
ラピスクリニック天神の大きなメリットは、夜間でも通常料金で受診できる点です。多くの医療機関では夜間や休日に時間外加算がかかりますが、こちらのクリニックでは夜間休日加算がありません。また、Web予約やWeb問診に対応しており、事前に問診票を入力しておけば待ち時間を短縮できます。院内処方も可能なため、診察後に薬局を探す手間もかかりません。
公式サイト:ラピスクリニック天神
夜間診療所(平日のみ22時30分まで)
夜間診療所は、福岡市博多区中洲にある平日夜間専門のクリニックです。診療時間は平日の16時30分から22時30分までで、土日祝日は休診です。
こちらのクリニックも、夜間でも通常診察料金で受診できるのが大きな魅力です。夜間休日料金が加算されないため、費用を気にせず受診できます。
診療科目は内科のほか、心療内科・精神科、性関連外来があります。院内処方が可能で、クレジットカードなどのキャッシュレス決済にも対応しています。中洲という繁華街の立地ですが、地下鉄駅から徒歩1分と非常にアクセスが良く、仕事帰りに立ち寄りやすい場所です。
公式サイト:夜間診療所
救急科を標榜するクリニック
福岡市内で救急科を標榜している民間クリニックは非常に少なく、緊急時に頼れる貴重な存在です。救急科とは、救急医療を専門とする診療科目で、急な病気やケガに対して迅速な診断と処置を行います。
ひろつ内科クリニック(博多駅・毎日21時まで)
ひろつ内科クリニックは、福岡市博多区博多駅東にある、救急科を標榜する数少ないクリニックの一つです。JR博多駅筑紫口から徒歩2分という好立地で、平日だけでなく土日祝日も毎日21時まで診療を行っています。
Web予約とWeb問診に対応しており、事前に症状を入力しておけば待ち時間を短縮できます。ただし、小児の診察は対応が困難とのことですので、お子さんの場合は小児科のある医療機関を受診してください。
火曜日のみ休診ですが、それ以外の曜日は毎日21時まで診療しているため、平日の仕事帰りはもちろん、休日の夜間にも頼れるクリニックです。博多駅から徒歩2分という立地の良さも大きな魅力です。
公式サイト:ひろつ内科クリニック
20時まで診療可能なクリニック
20時まで診療しているクリニックも、仕事帰りに受診したい方にとって便利な選択肢です。21時や22時までのクリニックに比べると診療終了時間はやや早めですが、それでも一般的なクリニックの診療時間(18時頃まで)よりも遅くまで対応しています。
たしろ代謝内科クリニック(城南区・平日20時まで)
たしろ代謝内科クリニックは、福岡市城南区樋井川にある、代謝内科(甲状腺・糖尿病)を専門とするクリニックです。内科の診療時間は平日20時までで、夜間の急な体調不良にも対応しています。
特筆すべきは、夜間の急な子どもの風邪にも対応している点です。ただし、生後6ヶ月未満の乳児は対応が難しいとのことですので、小さな赤ちゃんの場合は小児科専門の医療機関をご利用ください。
クリニックには女性医師(副院長)も在籍しているため、女性の方も安心して受診できます。また、訪問診療やオンライン診療にも対応しており、通院が難しい方への配慮も行き届いています。
平日20時までという診療時間は、17時や18時に終わる一般的なクリニックに比べて遅く、仕事帰りでも受診しやすい時間帯です。城南区や早良区南部にお住まいの方にとって、頼りになるクリニックです。
公式サイト:たしろ代謝内科クリニック
これらの夜間診療可能な民間クリニックは、公的な急患診療施設とあわせて活用することで、夜間の急な体調不良にも柔軟に対応できます。症状の程度や時間帯、お住まいの地域に応じて、最適なクリニックを選択してください。
ただし、いずれのクリニックも応急的な処置が中心ですので、症状が改善しない場合や慢性的な病気の治療が必要な場合は、翌日以降にかかりつけ医を受診することをおすすめします。
重症時の二次・三次救急病院リスト
急患診療センターや夜間診療クリニックは、比較的軽症の患者を対象とした一次救急医療機関です。しかし、重症のケガや命に関わる病気の場合は、より高度な医療設備と専門医が揃った二次・三次救急病院での治療が必要になります。
福岡市内には、24時間体制で重症患者を受け入れる救急病院が複数あります。交通事故や心筋梗塞、脳卒中など、一刻を争う状況では、これらの病院が命を救う最後の砦となります。
救命救急センター設置病院(三次救急)
三次救急とは、最も重篤な患者に対応する救急医療体制です。救命救急センターが設置されており、24時間365日、どんな重症患者でも必ず受け入れる体制が整っています。
福岡県済生会福岡総合病院(中央区)
福岡県済生会福岡総合病院は、福岡市の中心部である天神地区に位置する三次救急病院です。救命救急センターには、重症外傷、急性心筋梗塞、脳卒中、重症熱傷など、あらゆる重篤な状態に対応できる設備と専門医が揃っています。
屋上にはヘリポートが設置されており、ドクターヘリによる搬送も24時間対応可能です。年間4,000台以上の救急車を受け入れる実績があり、福岡市の救急医療の中核を担っています。
九州大学病院(東区)
九州大学病院は、福岡市東区にある特定機能病院で、救命救急センターと小児救命救急センターの両方が設置されています。大学病院ならではの高度な医療技術と最新の設備により、重症患者の救命率向上に貢献しています。
特に小児救命救急センターは、重症の子どもを専門的に治療できる数少ない施設の一つです。地下鉄駅から徒歩2分という立地の良さも、緊急時には大きなメリットとなります。
24時間対応の二次救急病院
二次救急病院は、入院や手術が必要な中等症から重症の患者に対応する医療機関です。三次救急ほどの高度な設備はありませんが、24時間体制で救急患者を受け入れています。
区別の主要救急告示病院一覧
福岡市内には、区ごとに救急告示病院が指定されています。救急告示病院とは、救急医療を提供する能力があると都道府県知事が認めた病院のことです。以下、区別に主な救急告示病院をご紹介します。
- 東区(6施設):福岡輝栄会病院、福岡和白病院、福岡市立こども病院など
- 博多区(4施設):友田病院、原三信病院、福岡市民病院など
- 中央区(1施設):福岡県済生会福岡総合病院
- 南区(5施設):福岡赤十字病院、九州中央病院、福岡脳神経外科病院など
- 城南区(4施設):福岡大学病院、さくら病院など
- 早良区(5施設):福岡記念病院、福岡大学西新病院、福岡山王病院など
- 西区(6施設):白十字病院、西福岡病院、昭和病院など
福岡市公式サイト「福岡市内の救急告示病院」(更新日:2024年6月1日)では、すべての救急告示病院のリストと連絡先が掲載されています。
休日の外科当番医制度
福岡市では、休日(日曜・祝日)に外科の救急対応が必要な場合に備えて、外科当番医制度を設けています。市内の救急告示病院が当番制で外科診療を担当する仕組みです。
当番医の調べ方とカレンダー確認方法
休日の外科当番医は、毎週日曜・祝日に市内各区から6病院が当番を務めます。診療時間は病院ごとに異なるため、受診前に必ず電話で確認してください。
当番医の情報は、以下の方法で確認できます。
- 福岡市公式サイト「休日の外科当番医」のページでカレンダー形式で確認
- ふくおか医療情報ネット(30日先まで確認可能)
- #7119(福岡県救急医療情報センター)に電話で問い合わせ
外科当番医を受診する際の注意点は以下の通りです。
- 紹介状がない場合、選定療養費(追加料金)が発生する可能性がある
- 応急的な処置が目的のため、翌日以降にかかりつけ医での再受診が必要
- 事前に電話で受け入れ可能か確認することが推奨される
福岡市公式サイト「休日の外科当番医について」では、最新の当番医情報が掲載されています。
重症時は迷わず救急車を呼ぶか、これらの二次・三次救急病院を受診してください。命に関わる状況では、一刻も早い専門的な治療が何よりも重要です。
自宅で受診できるオンライン診療・往診サービス
夜間や休日に体調が悪くなっても、小さな子どもがいる、高齢で移動が困難、悪天候で外出できないなど、病院に行くのが難しい状況もあります。そんなときに頼りになるのが、自宅で受診できるオンライン診療や往診サービスです。
スマートフォンやパソコンがあれば、ビデオ通話で医師の診察を受けられ、必要に応じて薬を自宅まで届けてもらえます。重症の場合は、医師が直接自宅を訪問して診察・検査・処置を行う往診サービスも利用できます。
ファストドクター(24時間365日対応)
ファストドクターは、24時間365日対応のオンライン診療・救急往診サービスです。民間最大手の時間外救急センターで、2024年9月時点で累計175万件の利用実績があります。
ファストドクターは、全国11施設の医療法人と約4,800名のパートナー医師が運営しており、福岡市を含む福岡県内の一部地域で利用できます。今後、対応エリアは順次拡大予定です。
オンライン診療と救急往診の使い分け
ファストドクターには、2つのサービスがあります。症状の程度や状況に応じて使い分けましょう。
オンライン診療は、スマートフォンやパソコンのビデオ通話を使って医師の診察を受けるサービスです。比較的軽症で、自分で症状を説明できる場合に適しています。
- 24時間365日いつでも受付可能
- 最短1時間で処方薬を自宅に宅配
- マイナ保険証に対応
- クレジットカード、コンビニ後払いが可能
救急往診は、医師が直接自宅を訪問して診察・検査・処置を行うサービスです。症状が重い、移動が困難、詳しい検査が必要な場合に適しています。
- ポータブルレントゲン、血液検査機器などを携行
- 新型コロナPCR・抗原検査、インフルエンザ検査が可能
- 点滴、縫合、ギプスシーネ固定などの処置が可能
- 80種類以上の薬剤を携行、その場で処方
対応エリアと料金の目安
ファストドクターの対応エリアは、福岡市全域のほか、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市、糟屋郡です。エリアは順次拡大予定ですので、最新情報は公式サイトでご確認ください。
料金は健康保険が適用され、各種医療証も利用できます。ただし、夜間・休日は時間外加算、深夜加算が適用されるため、通常の診療よりも費用が高くなります。
利用方法は簡単です。電話またはウェブサイトから相談(無料)すると、メディカルコールスタッフが問診を行い、オンライン診療か往診かを提案します。往診の場合は、担当医師が決定後、自宅を訪問します。
福岡市内では、がんこクリニック(博多区板付1-5-9)がファストドクターと提携しています。
公式サイト:ファストドクター
オンライン診療のメリットと注意点
オンライン診療は便利なサービスですが、利用する前にメリットと注意点を理解しておきましょう。
保険適用される診療内容
オンライン診療では、健康保険が適用される診療内容が決まっています。一般的な内科診療、発熱外来、小児科診療、整形外科診療などが対象です。
- 風邪、発熱、腹痛、頭痛などの一般的な症状
- 新型コロナウイルス、インフルエンザの診断と処方
- 子どもの急な発熱、嘔吐、下痢
- 捻挫、打撲などの軽度の外傷
処方薬の宅配サービス
オンライン診療で処方された薬は、自宅まで宅配してもらえます。ファストドクターの場合、最短1時間で薬が届くため、すぐに服用を開始できます。
薬の宅配には別途配送料がかかる場合がありますが、夜間に外出して薬局を探す手間や交通費を考えると、便利で経済的なサービスといえます。
受診前に知っておくべき7つの重要ポイント
夜間や休日に急患診療を受ける際には、事前に知っておくべき重要なポイントがあります。持参すべき物、費用の目安、新しい制度など、知っておくことで受診がスムーズになり、安心して医療を受けることができます。
ここでは、夜間・休日の救急診療を利用する前に押さえておきたい7つのポイントを詳しく解説します。
持参すべき物リスト
救急診療を受ける際は、以下の物を必ず持参してください。忘れると診察ができなかったり、後日手続きが必要になったりする場合があります。
- 健康保険証またはマイナンバーカード(マイナ保険証)の原本
- お薬手帳または普段飲んでいる薬
- 各種医療証(小児医療証、高齢者医療証など、該当者のみ)
- 診察券(かかりつけ病院のもの)
- 現金または財布(キャッシュレス決済対応の施設もあり)
乳幼児の場合は、上記に加えて以下の物も持参すると安心です。
- 母子健康手帳
- 紙おむつ
- ほ乳瓶
- タオル
また、救急車で搬送される可能性がある場合は、靴も忘れずにお持ちください。
マイナ保険証と従来の保険証の違い
2025年10月現在、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」が普及しています。福岡市の急患診療センターや急患診療所は、すべてオンライン資格確認システムを導入済みで、マイナ保険証を利用できます。
マイナ保険証を利用するメリットは以下の通りです。
- 高額療養費制度の「限度額認定証」の持参が不要になる
- 過去の受診歴や薬剤情報を医師が確認できる
- より正確な診断と適切な処方が可能になる
- 保険証の更新手続きが不要
ただし、マイナ保険証を利用すると、医療情報取得加算として初診時に1点(10円)、再診時に1点(10円)が加算されます。また、従来の保険証も引き続き利用できますので、どちらを使うかは患者が選択できます。
福岡市医師会公式サイト「急患診療センターを受診する前に!」では、マイナ保険証の利用に関する最新情報が掲載されています。
お薬手帳や母子手帳の重要性
お薬手帳は、普段飲んでいる薬の記録が記載されている大切な手帳です。救急診療では、医師が患者の服薬歴を正確に把握することが、適切な診断と処方のために非常に重要です。
特に、複数の医療機関を受診している方や、持病で定期的に薬を飲んでいる方は、必ずお薬手帳を持参してください。サプリメントや健康食品も、治療や検査に影響する可能性があるため、医師に申告が必要です。
お薬手帳を持っていない場合は、普段飲んでいる薬そのものを持参してください。薬の名前や量を正確に伝えることができれば、医師は適切な処方を行えます。
母子健康手帳は、乳幼児の成長記録や予防接種の履歴が記載されています。子どもの急病で受診する際は、母子手帳を持参することで、医師が過去の病歴やアレルギー情報を確認でき、より安全な診療が可能になります。
夜間・休日の診療費用の目安
夜間や休日に医療機関を受診すると、通常の診療時間よりも費用が高くなります。これは、時間外加算、深夜加算、休日加算といった追加料金が発生するためです。
時間外加算・深夜加算・休日加算とは
夜間や休日の診療では、以下の加算が適用されます。金額は医療機関の規模や診療内容によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
- 時間外加算:平日18時~22時、土曜12時以降(850円~2,300円程度)
- 深夜加算:22時~翌朝6時(4,800円~6,400円程度)
- 休日加算:日曜・祝日、年末年始(2,500円~3,800円程度)
これらの加算は、診察料に上乗せされるため、通常の診療費と比べて2倍から3倍程度の費用がかかることがあります。健康保険が適用されるため、実際の窓口負担は加算額の3割(または1割)ですが、それでも通常よりは高額になります。
ただし、一部の民間クリニック(ラピスクリニック天神、夜間診療所など)では、夜間でも通常料金で受診できる場合があります。費用を抑えたい場合は、こうしたクリニックの利用も検討してください。
マイナ救急で救急搬送がスムーズに(2025年10月開始)
2025年10月1日から、全国の救急隊でマイナ保険証を活用した「マイナ救急」が一斉に開始されました。これは、救急現場で救急隊員が患者のマイナ保険証を読み取り、過去の受診歴や薬剤情報を確認することで、救急搬送をよりスムーズにする取り組みです。
福岡市消防局もこの制度に対応しており、救急車の中でマイナ保険証を利用できます。
マイナ保険証で確認できる医療情報
マイナ救急では、救急隊員が専用のカードリーダーでマイナ保険証を読み取り、以下の医療情報を閲覧できます。
- 過去の受診歴(5年分)
- 過去の電子処方箋情報(100日分)
- 過去の薬剤情報(5年分)
- 過去の手術情報(5年分)
- 過去の診療情報(5年分)
- 過去の特定健診情報(5回分)
これらの情報により、救急隊員は患者の持病や普段飲んでいる薬を正確に把握でき、適切な搬送先の選定や応急処置が可能になります。
特に、意識のない患者や気が動転している家族でも、マイナ保険証があれば正確な医療情報を伝達できるのが大きなメリットです。
緊急時に備えて持ち歩く重要性
マイナ救急を利用するには、マイナンバーカードの取得とマイナ保険証の利用登録が完了している必要があります。また、もしものときに備えて、マイナ保険証を常に持ち歩くことが推奨されています。
マイナ救急の利用に際しては、以下の点にご注意ください。
- 医療情報の閲覧には、本人の同意が原則必要
- 意識不明で同意が取れない場合は、生命・身体保護のため同意なしに閲覧することがある
- 顔写真で本人確認を行うため、マイナンバーカードの暗証番号入力は原則不要
- 税や年金など救急活動に関係ない情報は閲覧されない
- カードリーダーやタブレット端末に情報は記録されない
- 医療情報の閲覧履歴はマイナポータルで確認可能
政府広報オンライン「マイナ救急で救急搬送がスムーズに!命を守るマイナ保険証の新しい活用法」では、マイナ救急の詳しい利用方法や実際の救命事例が紹介されています。
トリアージとは?診察順が前後する理由
救急外来では、来院順ではなく、症状の緊急度によって診察の順番が決まります。これを「トリアージ」といいます。
緊急度による5段階分類
トリアージは、専門知識を持った看護師(トリアージナース)が、患者の症状を観察し、緊急度と重症度を判定する仕組みです。日本では、JTAS法(Japan Triage and Acuity Scale)という5段階の分類が使われています。
- レベル1(赤)- 蘇生:生命の危機、即座の処置が必要
- レベル2(オレンジ)- 緊急:重篤、10分以内に診察開始
- レベル3(黄)- 準緊急:30分以内に診察開始
- レベル4(緑)- 低緊急:60分以内に診察開始
- レベル5(白)- 非緊急:120分以内に診察開始
例えば、軽い風邪症状で来院した方(レベル5)よりも、胸の激しい痛みを訴える方(レベル2)が先に診察されます。そのため、先に来院していても、後から来た患者が先に呼ばれることがあります。
トリアージは、限られた医療資源を最も必要としている患者に優先的に提供するための仕組みです。待ち時間が長くなることもありますが、緊急度の高い患者の命を救うために必要な措置ですので、ご理解とご協力をお願いします。
応急処置と翌日の再受診について
急患診療センターや夜間診療クリニックは、応急的な処置を目的とした一次救急医療機関です。そのため、診察と処方は応急的なものに限られ、詳しい検査や本格的な治療は行われません。
急患診療は応急的な処置が目的
急患診療で処方される薬は、原則として1日分です。症状を一時的に和らげることが目的で、根本的な治療ではありません。そのため、翌日以降は必ずかかりつけ医を受診し、詳しい検査や継続的な治療を受けてください。
特に、以下のような場合は、翌日の再受診が重要です。
- 症状が改善しない、または悪化している
- 処方された薬を飲んでも効果がない
- 新たな症状が出てきた
- 慢性的な病気の可能性がある
急患診療は、あくまで「その場をしのぐ」ための医療です。本格的な治療は、通常の診療時間内にかかりつけ医で受けることが基本です。
感染対策と来院時のマナー
夜間や休日の救急外来は、さまざまな症状の患者が集まる場所です。感染症を予防し、他の患者や医療スタッフに配慮するため、来院時のマナーを守りましょう。
発熱時は事前の電話連絡が必須
発熱や風邪症状がある場合は、受診前に必ず医療機関に電話で連絡してください。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの感染症が疑われる場合、一般の患者と診察場所を分けるなどの対応が必要になるためです。
2025年10月現在、新型コロナウイルス感染症は5類感染症に分類されていますが、医療機関では引き続き感染対策を継続しています。発熱患者には来院時のマスク着用を要請している施設が多いため、マスクを忘れずにお持ちください。
また、お付き添いの方も含めて、以下の基本的な感染対策を心がけましょう。
- マスクの着用(特に発熱や咳症状がある場合)
- 手洗い・手指消毒の徹底
- 咳エチケットの実践(咳やくしゃみは肘で覆う)
- 待合室では他の患者と適切な距離を保つ
付き添い者の人数制限について
感染対策や待合室の混雑緩和のため、多くの医療機関では付き添い者の人数を制限しています。特に、夜間や休日は患者が多く、待合室が混み合うため、付き添いは最小限の人数に抑えることが求められます。
一般的には、以下のような制限が設けられています。
- 成人の患者:付き添いは原則1名まで
- 子どもの患者:保護者1名まで
- 高齢者や歩行困難な患者:介助者1名まで
やむを得ない事情で複数人の付き添いが必要な場合は、受付時にその旨を伝え、医療機関の指示に従ってください。
これらのポイントを事前に理解しておくことで、夜間や休日の救急診療をスムーズに受けることができます。持ち物を確認し、費用の目安を把握し、マナーを守って受診しましょう。
症状・状況別の受診先フローチャート
「今すぐ病院に行くべき?」「どこに行けばいいの?」と迷ったときに、症状や状況に応じた適切な受診先を選べるよう、パターン別にご案内します。急な体調不良やケガの際は、このフローチャートを参考に、焦らず冷静に判断してください。
特に夜間や休日は選択肢が限られるため、事前に受診先の目星をつけておくと安心です。お子さんの急病の場合は小児科対応の施設を、大人の方は内科や救急科を中心に選ぶとスムーズです。
発熱・風邪症状の場合
発熱や咳、のどの痛みなどの風邪症状が出た場合、まずは症状の程度と時間帯を確認しましょう。結論として、軽度から中等度の症状であれば夜間診療クリニックや急患診療センターで対応可能ですが、高熱が続く場合や呼吸困難を伴う場合は救急病院への受診が必要です。
発熱時は感染症の可能性があるため、必ず事前に電話連絡をしてから受診してください。特に新型コロナウイルスやインフルエンザが流行している時期は、発熱外来として別の入口や時間帯を設けている医療機関もあります。
電話せずに直接来院すると、待合室で長時間待たされたり、受診を断られたりするケースもあるため注意が必要です。
大人の場合の受診先選択
大人の方が発熱・風邪症状で受診する場合、以下のフローチャートで判断してください。

特に高齢の方や持病をお持ちの方は、症状が急激に悪化する可能性があるため、早めの受診判断が重要です。判断に迷ったときは、#7119(救急医療電話相談)に相談すると、看護師が症状を聞き取り、適切な受診先をアドバイスしてくれます。
子どもの場合の受診先選択
お子さんの発熱は、大人よりも慎重な判断が必要です。特に乳幼児は急激に症状が変化することがあるため、以下のフローチャートを参考にしてください。

お子さんの様子を観察するポイントとして、「ぐったりしていないか」「水分を取れているか」「呼吸が苦しそうでないか」の3点をチェックしてください。
元気に遊んでいたり、食欲があったりする場合は、慌てて夜間受診する必要はありません。翌朝かかりつけの小児科を受診する方が、待ち時間も少なく丁寧な診察を受けられます。 —
ケガ・外傷の場合
切り傷、打撲、捻挫などのケガをした場合、傷の深さや出血量、痛みの程度によって受診先が変わります。結論として、軽度のケガであれば夜間診療クリニックや急患診療センターで対応可能ですが、骨折の疑いや大量出血がある場合は、外科や整形外科のある救急病院への受診が必要です。
特に頭を強く打った場合や、意識を失った場合は、すぐに救急車を呼んでください。また、動物に噛まれた場合や、錆びた釘を踏んだ場合は、感染症予防のため早めの受診が重要です。
傷口はできるだけ清潔なガーゼやタオルで押さえ、出血を止めてから受診しましょう

軽度の場合(夜間診療クリニック)
以下のような軽度のケガであれば、夜間診療クリニックで対応可能です。
- 浅い切り傷で、出血が少量の場合
- 軽度の打撲や捻挫で、腫れや痛みがそれほど強くない場合
- やけどの範囲が手のひらサイズ以下で、水ぶくれができていない場合
- 虫刺されやかぶれなど、皮膚のトラブル
夜間診療クリニックでは、簡単な縫合処置や消毒、包帯処置などの応急手当を受けられます。ただし、レントゲン設備がない施設も多いため、骨折が疑われる場合は救急病院への受診が必要です。
受診の際は、ケガをした状況(いつ、どこで、どのように)を説明できるようにしておくと、診察がスムーズに進みます。
重度の場合(救急病院)
以下のような重度のケガは、すぐに救急病院を受診してください。
- 深い切り傷で、出血が止まらない場合
- 骨折の疑いがある場合(激しい痛み、変形、腫れ、動かせない)
- 広範囲のやけど、または水ぶくれができている場合
- 頭を強く打ち、嘔吐や意識障害がある場合
- 目や耳にケガをした場合
重度のケガの場合は、夜間診療クリニックでは対応できないことが多いため、最初から救急病院を選ぶことが重要です。特に外科や整形外科の専門医がいる病院を選ぶと、適切な処置を受けられます。救急車を呼ぶべきか迷った場合は、#7119に相談すると、症状に応じたアドバイスを受けられます。
出血が多い場合は、清潔なタオルやガーゼで傷口を強く押さえ、可能であれば心臓よりも高い位置に保つと出血を抑えられます。
腹痛・吐き気の場合
急な腹痛や吐き気は、原因がさまざまで判断が難しい症状です。結論として、激しい痛みや持続する嘔吐がある場合は、すぐに救急病院を受診する必要がありますが、軽度の胃腸症状であれば急患診療センターや夜間診療クリニックで対応可能です。
腹痛の原因には、食中毒、胃腸炎、虫垂炎(盲腸)、胆石、尿路結石など、さまざまなものがあります。特に「今まで経験したことがないような激しい痛み」「冷や汗が出る」「意識がもうろうとする」といった症状がある場合は、命に関わる病気の可能性があるため、迷わず救急車を呼んでください。

軽度の腹痛や吐き気であれば、以下の対応を試してみましょう。
- 安静にして、体を温める
- 水分を少しずつ取る(一度に大量に飲まない)
- 脂っこい食事や刺激物を避ける
- 市販の胃腸薬を服用する(症状に合ったものを選ぶ)
それでも症状が改善しない場合や、発熱を伴う場合は、夜間でも受診を検討してください。特にお子さんや高齢の方は、脱水症状を起こしやすいため、早めの受診が安心です。
受診の際は、「いつから痛むか」「どこが痛むか」「吐き気や下痢はあるか」「食事は何を食べたか」といった情報を整理しておくと、診察がスムーズに進みます。
子どもの急病の場合
お子さんの急病は、親御さんにとって最も不安な状況の一つです。結論として、生後3か月未満の赤ちゃんや、ぐったりして反応が鈍い場合はすぐに救急病院へ、それ以外の場合はまず#8000(小児救急医療電話相談)に相談してから受診先を決めるのが安心です。
子どもは大人よりも症状の変化が早く、急激に悪化することがあります。特に夜間は親御さんも不安になりやすいため、冷静に判断するためのサポートとして電話相談を活用しましょう。
#8000では、小児科の看護師や医師が症状を聞き取り、「すぐに受診すべきか」「翌朝まで様子を見てよいか」をアドバイスしてくれます。
小児科対応の急患診療所に関しては「診療時間と対応診療科目一覧」で紹介しているので、そちらをご覧ください。
#8000への相談が有効なケース
#8000(小児救急医療電話相談)は、以下のようなケースで特に有効です。
- 夜間に発熱したが、すぐに受診すべきか判断に迷う場合
- 嘔吐や下痢があるが、水分は取れている場合
- けいれんを起こしたが、すでに治まっている場合
- 誤って異物を飲み込んでしまった場合
- ケガをしたが、救急車を呼ぶべきか迷う場合
#8000は、福岡県では平日19時~翌朝7時、土曜12時~翌朝7時、日曜・祝日・年末年始は7時~翌朝7時まで利用できます。電話をかけると、お子さんの年齢や症状を聞かれるため、体温や症状の経過をメモしておくとスムーズです。
相談は無料ですので、迷ったときは気軽に利用しましょう。ただし、明らかに重症の場合(意識がない、けいれんが止まらない、呼吸困難など)は、電話相談よりも先に救急車を呼ぶことが優先です。
よくある質問(FAQ)
福岡市の夜間診療や救急対応について、よく寄せられる質問にお答えします。受診前の不安や疑問を解消し、スムーズに医療機関を利用できるよう、具体的な回答をまとめました。
ここに掲載していない質問がある場合は、各医療機関に直接お問い合わせいただくか、#7119の電話相談をご利用ください。
- 夜間診療と救急外来の違いは何ですか?
-
夜間診療は比較的軽症な患者を対象とした応急的な診療です。救急外来は重症度の高い患者や緊急性のある症状に対応します。
夜間診療クリニックでは、風邪、腹痛、軽度のケガなど、翌日まで待てない症状に対して応急処置を行います。診療時間は18時から22時頃までが一般的です。一方、救急外来は24時間体制で、意識障害、大量出血、呼吸困難など命に関わる症状に対応します。検査設備や入院設備も整っており、重症患者の受け入れが可能です。
症状が軽度であれば夜間診療クリニックを、重症や緊急性が高い場合は救急病院を選びましょう。判断に迷う場合は#7119に相談してください。
- 保険証を忘れた場合はどうなりますか?
-
保険証がなくても診療は受けられますが、一旦全額自己負担となります。後日保険証を持参すれば返金されます。
保険証を忘れた場合、医療費の全額(10割)を支払う必要があります。通常3割負担の方であれば、約3倍の金額を窓口で支払うことになります。受診後1か月以内に保険証と領収書を持って同じ医療機関を訪れれば、差額分が返金されます。
マイナ保険証を利用している方は、マイナンバーカードを持参すれば保険証の代わりになります。夜間や休日の急な受診に備えて、マイナ保険証の登録をおすすめします。ただし、医療機関によってはマイナ保険証に対応していない場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
- 紹介状がないと追加料金がかかるのは本当ですか?
-
はい。大きな病院(200床以上)を初診で受診する際、紹介状がないと選定療養費として7,000円程度の追加料金がかかります。
選定療養費は、大病院への患者集中を防ぎ、かかりつけ医との役割分担を促進するための制度です。2025年現在、200床以上の病院では紹介状なしの初診時に7,000円以上、再診時には3,000円以上の負担が義務付けられています。
ただし、救急搬送された場合や、緊急性が高く他の医療機関では対応が難しいと判断された場合は、選定療養費が免除されることがあります。夜間や休日に救急病院を受診する場合、緊急性が認められれば選定療養費がかからないケースもありますが、病院によって対応が異なるため、受診前に確認することをおすすめします。
- 薬は何日分もらえますか?
-
急患診療センターや夜間診療クリニックでは、原則1日から3日分の処方となります。翌日以降はかかりつけ医を受診してください。
夜間・休日の診療は応急的な対応が目的のため、処方される薬は最小限です。症状を一時的に抑えるための解熱剤、鎮痛剤、胃腸薬などが中心で、長期的な治療が必要な場合は後日改めて受診する必要があります。
持病の薬を切らしてしまった場合も、夜間診療では対応できないことがあります。定期的に服用している薬は、余裕を持って処方してもらい、切らさないよう管理することが大切です。旅行や長期外出の際は、予備の薬を持参するようにしましょう。
- 急患診療センターは予約制ですか?
-
いいえ、予約は不要です。直接来院してください。ただし、発熱症状がある場合は事前に電話連絡が必要です。
福岡市立急患診療センターをはじめ、多くの急患診療施設は予約なしで受診できます。受付順ではなく、トリアージ方式で緊急度の高い患者から診察するため、待ち時間は症状によって異なります。
福岡市立急患診療センターでは、「ネコの目システム」というリアルタイム混雑状況確認サービスを提供しています。スマートフォンやパソコンから待ち時間の目安を確認できるため、来院前にチェックすると便利です。ただし、表示される待ち時間はあくまで目安であり、緊急患者の来院状況によって変動します。
- 駐車場はありますか?
-
はい、多くの医療機関に駐車場があります。ただし、夜間や休日は混雑することがあるため、公共交通機関の利用も検討してください。
福岡市立急患診療センターには約100台分の無料駐車場があります。各区の急患診療所にも駐車場が併設されていますが、収容台数が限られているため、満車の場合は近隣のコインパーキングを利用する必要があります。
民間の夜間診療クリニックでは、提携駐車場がある場合と、周辺のコインパーキングを利用する場合があります。天神や博多駅周辺のクリニックは駐車場がないことが多いため、公共交通機関やタクシーでの来院が便利です。体調が悪い中での運転は事故のリスクもあるため、可能であれば付き添いの方に運転してもらうか、タクシーを利用することをおすすめします。
- クレジットカードは使えますか?
-
医療機関によって異なります。福岡市立急患診療センターではクレジットカードや電子マネーが利用できますが、小規模なクリニックでは現金のみの場合もあります。
2025年現在、多くの救急病院や公的医療機関ではキャッシュレス決済に対応しています。福岡市立急患診療センターでは、クレジットカード、デビットカード、交通系ICカード、PayPayなどの電子マネーが利用可能です。
一方、民間の夜間診療クリニックでは現金のみの取り扱いとなっている場合もあります。受診前に電話で確認するか、念のため現金を持参することをおすすめします。夜間はATMが閉まっていることもあるため、事前に現金を用意しておくと安心です。医療費の目安として、初診料と時間外加算を含めて5,000円から10,000円程度を見込んでおくとよいでしょう。
まとめ
福岡市には24時間対応の急患診療センターをはじめ、夜間診療クリニックや救急病院など、いざという時に頼れる医療機関が数多くあります。受診前に#7119や#8000の電話相談を活用すれば、症状に応じた適切な受診先を選べます。
このガイドをブックマークしておき、急な体調不良やケガの際にお役立てください。日頃からかかりつけ医を持ち、マイナ保険証やお薬手帳を準備しておくことで、より安心して医療サービスを受けられます。
