「遺言書を作成したいけれど、何から始めればいいか分からない」「自筆で書くべきか、公証役場で作るべきか迷っている」「福岡市ではどこで手続きできるの?」そんな疑問をお持ちではありませんか。
遺言書作成は決して難しいものではありません。正しい知識と適切なサポートがあれば、どなたでも安心して作成できます。この記事では、福岡市での遺言書作成について、基本的な書き方から保管方法、専門家の選び方まで、地域に密着した具体的な情報をわかりやすく解説します。
福岡法務局での保管制度や福岡市内の公証役場での手続き、無料相談の活用方法など、福岡市ならではの充実したサポート体制を活用して、確実で有効な遺言書を作成しましょう。
- 遺言書の種類と選び方
- 自筆証書遺言の正しい書き方
- 福岡法務局での保管制度
- 公正証書遺言の作成手順
- 専門家への相談方法
- よくある疑問と解決法
福岡市で遺言書作成を検討している方へ
福岡市では、遺言書作成に関する多くのサポート体制が整っており、年間を通じて多くの方が遺言書を作成されています。令和2年7月から開始された自筆証書遺言書保管制度により、福岡法務局での安全な保管も可能になりました。
また、福岡市役所では毎月第2・4金曜日に公証人による無料相談を実施しており、専門的なアドバイスを受けることができます。このセクションでは、福岡市で遺言書作成を検討している方が知っておくべき基本情報と、なぜ今遺言書を作成することが重要なのかについて詳しく解説します。
福岡市で遺言書作成が必要な理由
遺言書の作成は、年齢に関係なく重要な準備です。特に福岡市のような都市部では、不動産価値の変動や家族構成の多様化により、相続に関するトラブルが増加傾向にあります。
福岡市を中心とした専門家事務所では年間400件以上の相続相談が寄せられており、その多くが遺言書がないことで発生する問題です。遺言書を作成することで、以下のような効果が期待できます。
- 相続争いの防止と家族関係の維持
- ご自身の意思に沿った財産分割の実現
- 相続手続きの簡素化と時間短縮
- 残されたご家族の精神的・経済的負担の軽減
特に、相続が発生した際、一番多く揉める原因となるのは遺産の分割についてです。遺言書があることで、原則として遺言の内容に従って相続が行われるため、無用な争いを防ぐことができます。
福岡市で利用できる遺言書作成サポート
福岡市では、遺言書作成に関する充実したサポート体制が整っています。
- 公的サポート
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福岡市役所本庁2階の市民相談室では、毎月第2・4金曜日に福岡・博多公証役場の公証人による無料相談を実施しています。相談時間は午後1時から午後4時まで、1人30分間の予約制で、先着6人まで対応可能です。
- 法務局でのサポート
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福岡法務局では令和2年7月10日から自筆証書遺言書保管制度がスタートしており、作成した自筆証書遺言を安全に保管することができます。
- 専門家によるサポート
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専門家によるサポート 福岡市内には、遺言・相続を専門とする行政書士、司法書士、弁護士が多数在籍しており、個別の状況に応じたきめ細かなサポートを受けることができます。
遺言書作成を始める前に知っておくべきポイント
遺言書作成を検討する際は、以下のポイントを事前に把握しておくことが重要です。
まずは、ご自身の財産を正確に把握することから始めます。不動産、預貯金、株式、保険などの資産だけでなく、借入金などの負債も含めて整理しましょう。
相続人となる家族の構成を確認し、それぞれの状況を考慮した分割方法を検討します。遺留分についても配慮が必要です。
専門家によるサポート 福岡市内には、遺言・相続を専門とする行政書士、司法書士、弁護士が多数在籍しており、個別の状況に応じたきめ細かなサポートを受けることができます。
遺言書の種類選択 自筆証書遺言と公正証書遺言のそれぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に最適な方法を選択することが重要です。
福岡市での遺言書作成は、適切な知識と専門家のサポートがあれば、決して難しいものではありません。次のセクションでは、具体的な遺言書の種類と選び方について詳しく解説していきます。
遺言書の種類と選び方|福岡市でおすすめはどれ?
遺言書を作成する際、主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つの選択肢があります。令和2年7月から開始された法務局での自筆証書遺言書保管制度により、従来の自筆証書遺言の課題も改善されました。福岡市内では福岡・博多公証役場で公正証書遺言の作成が可能で、福岡法務局で自筆証書遺言の保管も可能です。
ご自身の状況や家族構成、財産の内容に応じて最適な方法を選択することが重要です。このセクションでは、両方の特徴を詳しく比較し、福岡市在住の方に最適な遺言書の種類をご提案します。
自筆証書遺言の特徴とメリット・デメリット
自筆証書遺言は、遺言者本人が全文、日付、氏名を自筆で書き、押印して作成する遺言書です。2019年の民法改正により、財産目録については自筆でなくても認められるようになったほか、法務局での保管制度も利用可能になりました。
- 作成に費用がかからず、手軽に作成できる
- 証人が不要で、遺言内容を秘密にできる
- いつでも自由に作成・変更ができる
- 福岡法務局の保管制度を利用すれば安全に保管可能
- 法的要件を満たさず無効になるリスクがある
- 自宅保管の場合、紛失や改ざんの可能性がある
- 法務局保管を利用しない場合、家庭裁判所での検認が必要
- 病気で字が書けなくなった場合は作成困難
自筆証書遺言は内容が複雑な場合、法律的に見て不備な内容になってしまう危険性があり、後に紛争の種を残したり、無効になってしまったりする場合もあります。特に、訂正方法が厳格で、方式不備により無効になる危険性も付きまとうため注意が必要です。
公正証書遺言の特徴とメリット・デメリット
公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が遺言者の意思を聞き取り、適切な法的形式で作成する遺言書です。福岡市では福岡公証役場(中央区舞鶴)と博多公証役場(博多区博多駅前)で作成可能となっています。
公正証書遺言のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 公証人が作成するため、形式不備で無効になるリスクがほぼない
- 原本が公証役場で保管され、紛失・改ざんの心配がない
- 家庭裁判所での検認手続きが不要
- 病気で字が書けない場合でも作成可能
- 高い証明力と法的安定性を持つ
- 作成に費用がかかる(財産額に応じて手数料が決定)
- 証人2名の立会いが必要で、遺言内容が完全に秘密にできない
- 公証役場への訪問が必要(出張サービスもあるが追加費用発生)
福岡相続サポートセンターによると、公正証書遺言は最も安心で確実な方法で、相続人間の紛争を防止する上では最も望ましい遺言方法とされていますので、確実性を求める方には非常におすすめの遺言と言えるでしょう。
福岡市で遺言書作成する際の種類選びのポイント
福岡市在住の方が遺言書の種類を選ぶ際は、以下のポイントを総合的に判断することが重要です。以下の表を見て、どちらのほうが自分に向いているのか、または相続等の状況を考えてどちらにしたほうが良いのか判断してください。
- 相続財産が複雑で、法的に正確な記載が必要な方
- 相続人間でトラブルが予想される場合
- 確実性と安全性を最優先したい方
- 病気や高齢で字を書くのが困難な方
- 費用をかけても安心できる遺言書を作成したい方
- 比較的シンプルな財産分割を希望する方
- 費用を抑えたい方
- 遺言内容を完全に秘密にしたい方
- まずは簡単な遺言書から始めたい方
三菱UFJ信託銀行では、「形式不備が起きやすい自筆証書遺言よりも、費用はかかりますが、公正証書遺言を作成することをお勧めしております」としています。
また、福岡市では市役所本庁2階の市民相談室で、毎月第2・4金曜日に福岡・博多公証役場の公証人による無料相談を受けることができるため、どちらの方法が適しているか専門家に相談してから決めることも可能です。
どちらの方法を選ぶにしても、遺言書の作成は法的知識が必要な重要な手続きです。福岡市内の専門家にサポートを依頼することで、より確実で有効な遺言書を作成することができます。
自筆証書遺言の正しい書き方と記載例
自筆証書遺言は福岡市在住の方にとって最も身近な遺言書作成方法です。費用をかけずに作成でき、いつでも自由に書き直しができるという利点があります。民法968条で定める自筆証書遺言の要件は、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と規定されており、この要件を満たさない遺言書は無効となります。
福岡法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は、さらに詳細な様式要件もあります。このセクションでは、法的に有効で確実な自筆証書遺言の書き方を、福岡市在住の方向けの具体例とともに詳しく解説します。
法的要件と書き方の基本ルール
自筆証書遺言が法的に有効となるためには、以下の5つの要件を必ず満たす必要があります。
- 遺言書の全文を自筆(手書き)で書くこと
- 作成した日付を明確に記載すること
- 遺言者の氏名を自筆で署名すること
- 遺言者の印鑑を押印すること
- 訂正がある場合は法定の方式に従うこと
自筆証書遺言は、パソコンやスマートフォンで作成したものや代筆してもらったものは無効となります(財産目録を除く)ので、必ず全文を手書きで作成します。
筆記用具は改ざんを防止するため、ボールペンや万年筆などの消せないものを使用し、長期間の保管ができるよう、しっかりした用紙を使用することが重要です。
平成31年(2019年)1月13日以降、財産目録をパソコンや代筆でも作成できるようになりましたが、その場合は財産目録の全てのページに署名と押印が必要です。
福岡法務局保管制度を利用する場合の追加要件
福岡法務局での保管を希望する場合は、以下の様式要件も満たす必要があります。
- 用紙はA4サイズに限定
- 上側5mm、下側10mm、左側20mm、右側5mmの余白を確保
- 片面のみに記載
- 各ページにページ番号を記載(1枚でも「1/1」と記載)
- 複数ページでも綴じ合わせない(封筒も不要)
以上のように、様式要件を満たすのは中々面倒な作業になりますので、自信がない方は専門家に頼んだほうが圧倒的に楽になります。
福岡市在住者向け遺言書の記載例
福岡市在住の方向けの具体的な遺言書記載例をご紹介します。不動産は登記簿通りに、預金は通帳通りに正確に記載することが重要です。
【記載例1:基本的な遺言書】
遺言書
遺言者福岡太郎は、次のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、下記の不動産を妻福岡花子(昭和35年3月15日生)に相続させる。
所在 福岡市中央区天神一丁目
地番 123番4
地目 宅地
地積 150.25平方メートル
所在 福岡市中央区天神一丁目123番地4
家屋番号 123番4
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階85.50平方メートル 2階65.20平方メートル
第2条 遺言者は、福岡銀行天神支店の普通預金(口座番号1234567)を長男福岡一郎(平成2年8月20日生)に相続させる。
第3条 遺言者は、その他一切の財産を妻福岡花子に相続させる。
第4条 遺言者は、この遺言の執行者として妻福岡花子を指定する。
令和6年4月15日
福岡市中央区天神一丁目123番地4
遺言者 福岡太郎 印
【記載例2:財産目録を添付する場合】
遺言書
遺言者博多次郎は、次のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、別紙財産目録1記載の不動産を妻博多美智子(昭和40年6月10日生)に相続させる。
第2条 遺言者は、別紙財産目録2記載の預貯金を長女博多良子(平成5年4月3日生)に相続させる。
第3条 遺言者は、その他一切の財産を妻博多美智子に相続させる。
第4条 遺言者は、この遺言の執行者として行政書士田中五郎を指定する。
令和6年5月20日
福岡市博多区博多駅前二丁目456番地7
遺言者 博多次郎 印
福岡市内の不動産を記載する際は、登記事項証明書の記載内容と完全に一致させる必要があります。住居表示と地番が異なる場合は、登記簿記載の地番を使用してください。
よくある間違いと注意点
福岡市で自筆証書遺言を作成する際によくある間違いと、その対策について説明します。
自筆証書遺言には必ず作成した日付を明確に記載します。「20XX年XX月XX日」のように日にちまで特定できなくてはなりません。「○月吉日」「スタンプなどの代用」は無効になります。複数の遺言書が見つかった場合、日付の新しいものが有効となるため、正確な日付記載は極めて重要です。
- 「福岡市の自宅」のような曖昧な表現は避け、正確な地番・家屋番号を記載
- 預金は銀行名・支店名・口座種別・口座番号を正確に記載
- 「長男に全て」ではなく、相続人の氏名・生年月日を明記
- 「任せる」「託す」などの曖昧な表現ではなく「相続させる」「遺贈する」と明記
訂正方法の注意点
自筆証書遺言の内容を訂正する場合は、訂正したい箇所に二重線を引きます。縦書きの場合は二重線の横、横書きの場合は二重線の上に正しい内容の記入が必要です。また、元の内容が見えるようにして、二重線の近くに訂正印を押し、訂正箇所の近くには訂正により削除した文字数と加えた文字数を記入する必要があります。
福岡市内の専門家によると、訂正が多い場合は読みにくくなるため、全て書き直すことをお勧めします。特に法務局保管制度を利用する場合は、訂正の痕跡があると保管時のチェックに時間がかかる可能性があります。
保管に関する注意点
自筆証書遺言は完成したら、改ざんを避けるために封筒に入れて封印して保管しましょう。裏面に「開封しないで家庭裁判所に提出すること」と記載しておけば、検認前の開封を防げます。ただし、自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は、遺言書は封筒に入れて封印した状態ではなく無封のものでなければなりません。
福岡法務局での保管を希望する場合は、事前に様式要件を確認し、不備のない状態で申請することが重要です。不明な点がある場合は、福岡市内の相続・遺言専門家に相談することをお勧めします。
福岡市での遺言書保管方法|法務局保管制度の活用
福岡市にお住まいの方が自筆証書遺言を作成した場合、令和2年7月10日から開始された自筆証書遺言書保管制度を活用することで、安全で確実な保管が可能になりました。
この制度により、従来の自宅保管における紛失や改ざんのリスクを大幅に軽減でき、相続開始後の家庭裁判所での検認手続きも不要となります。
福岡法務局管内では、福岡法務局本局をはじめとする11ヶ所の遺言書保管所で申請が可能です。福岡市在住の方は、住所地・本籍地・所有不動産の所在地のいずれかを管轄する保管所を選択でき、3,900円の手数料で遺言書を安全に保管できます。
福岡法務局での保管制度とメリット
自筆証書遺言書保管制度は、遺言者が法務局に自筆証書遺言を預け、法務局が遺言書の原本とその画像データを適切に保管する制度です。この制度により、法務局が自筆の遺言書を保管してくれますので、遺言書の破棄、隠匿、偽造による相続トラブルを避けられるようになりました。
- 遺言書の紛失・隠匿・改ざんの防止
- 家庭裁判所での検認手続きが不要
- 相続人への通知制度による確実な遺言書の発見
- 全国どこの法務局でも閲覧・証明書取得が可能
- 遺言書の真正性について高い証明力
福岡法務局では、保管申請時に遺言書の外形的審査を行うため、必ず守るべき要件を満たしていない場合は保管ができませんが、逆に言えば保管された遺言書は民法の要件を満たした有効な遺言書であることが担保されます。
また、保管制度では、遺言者の死亡後に遺言書が保管されていることを特定の方に通知する「指定者通知」制度があります。これにより、確実に遺言書の存在が相続人等に伝わり、遺言書が発見されずに終わってしまうリスクを防げます。
福岡市内の遺言書保管所と申請手続き
福岡市在住の方は、以下の条件に該当する遺言書保管所であれば、どこでも保管申請が可能です。
- 遺言者の住所地を管轄する遺言書保管所
- 遺言者の本籍地を管轄する遺言書保管所
- 遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所
福岡法務局管内では11ヶ所の遺言書保管所があり、福岡市在住の方は主に福岡法務局本局(福岡市中央区舞鶴3丁目5番25号)を利用することになります。
申請手続きの流れ
自筆証書遺言の申請手続きに関しては以下のステップで出来るので参考にしてください。
民法の要件を満たした自筆証書遺言を作成し、法務局保管制度の様式要件(A4サイズ、余白確保、ページ番号記載等)を確認します。
法務省のウェブサイトから保管申請書をダウンロードし、必要事項を記入します。遺言者・受遺者・遺言執行者等の情報を正確に記載します。
福岡法務局本局に電話で予約を取ります。手続きには予約が必須で、予約なしでは受付できません。
遺言書、保管申請書、住民票の写し(本籍・筆頭者記載、マイナンバー記載なし)、顔写真付き身分証明書、手数料3,900円分の収入印紙を準備します。
予約した日時に遺言者本人が福岡法務局を訪問し、書類の審査を受けて手数料を納付します。問題がなければ保管証が交付されます。
また、申請手続きをするにあたり重要な注意事項も載せておくので、十分に把握しておいてください。
- 申請は遺言者本人のみ可能(代理人や郵送による申請は不可)
- 遺言書はホチキス止めせず、バラバラのまま持参
- 封筒に入れる必要はなく、無封の状態で提出
- 一度保管した遺言書は、撤回手続きをしない限り返却されない
- 2通目以降の保管申請は、最初に申請した遺言書保管所でのみ可能
保管申請にあたり、手数料と費用が必要になりますので、そちらも記載しておきます。
保管申請後は「保管証」が交付されます。保管証には、遺言者の氏名、出生の年月日、手続を行った遺言書保管所の名称及び保管番号が記載されており、保管番号は保管した遺言書を特定するための重要な番号です。
保管証は再発行ができないため、紛失に注意し、ご家族等に遺言書を預けていることを伝える際に保管証の写しを渡すことをお勧めします。
福岡法務局での保管制度を利用することで、福岡市在住の方も安心して自筆証書遺言を残すことができます。ただし、法務局では遺言書の内容に関する相談は行っていないため、内容面で不安がある場合は、事前に福岡市内の専門家に相談することをお勧めします。
公正証書遺言を福岡市で作成する方法
福岡市で公正証書遺言を作成する場合、福岡公証役場(中央区舞鶴)と博多公証役場(博多区博多駅前)の2ヶ所で手続きが可能です。公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が作成に関与するため、形式不備で無効になる心配がなく、最も安全確実な遺言の方法です。
また、福岡市役所では毎月第2・4金曜日に福岡・博多公証役場の公証人による無料相談を実施しており、事前に相談してから作成することも可能です。このセクションでは、福岡市での公正証書遺言作成の具体的な流れと必要な手続きについて詳しく解説します。
福岡市内の公証役場と作成の流れ
福岡市内で公正証書遺言を作成できる公証役場は以下の2ヶ所です。
公正証書遺言作成の基本的な流れに関しては以下のステップで出来るので、是非把握しておいてください。
誰にどの財産を相続させるかを決定し、財産目録を作成します。不動産は固定資産評価額、預貯金は残高で財産額を算定します。
戸籍謄本、印鑑証明書、住民票、不動産の登記事項証明書など、公正証書遺言作成に必要な書類を事前に取得します。
福岡公証役場または博多公証役場に連絡し、遺言内容や必要書類について公証人と事前に打合せを行います。
公正証書遺言作成には証人2名の立会いが必要です。適任者がいない場合は、公証役場で紹介してもらうことも可能です。
指定された日時に公証役場を訪問し、公証人と証人2名の立会いのもと、公正証書遺言を作成します。
公正証書遺言は、公証人が遺言者から遺言の内容を聞き取って、公証人が作成する方式です。公証人という法律の専門家が関与するので、複雑な内容であっても、法律的に見てきちんと整理した内容の遺言にしますし、もとより、方式の不備で遺言が無効になるおそれもありません。
証人の要件について
公正証書遺言作成には証人2名以上の立会いが必要ですが、以下の方は証人になることができませんのでご注意下さい。
- 未成年者
- 推定相続人(相続人になる予定の人)とその配偶者・直系血族
- 受遺者(遺言で財産を受ける人)とその配偶者・直系血族
- 公証人の配偶者、4親等以内の親族、書記、雇人
適任者が見つからない場合は、公証役場で証人を紹介してもらうことができます。その際の費用は証人1人あたり10,000円程度です。
費用と必要書類
公正証書遺言の作成費用は、公証人手数料令という政令で全国一律に定められており、福岡市内のどちらの公証役場でも同じ費用となります。
手数料は、財産を相続または遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し、以下の基準表に当てはめて計算します。
- 100万円以下:5,000円
- 100万円超200万円以下:7,000円
- 200万円超500万円以下:11,000円
- 500万円超1,000万円以下:17,000円
- 1,000万円超3,000万円以下:23,000円
- 3,000万円超5,000万円以下:29,000円
- 5,000万円超1億円以下:43,000円
さたに遺言加算と追加費用に関しては、以下のようなルールがあります。
全体の財産が1億円以下のときは、上記によって算出された手数料額に、11,000円が加算されます。これを「遺言加算」といいます。
また、以下の追加費用が発生する場合があります。
- 原本が4枚を超える場合:1枚につき250円
- 正本・謄本の交付:1枚につき250円
- 公証人の出張(自宅・病院等):基本手数料の1.5倍+日当・交通費
- 証人紹介料:1人につき10,000円前後
では、手数料はどれくらい必要なのか、例を挙げて計算してみます。福岡市在住の方で、財産8,000万円を妻に4,000万円、子2人にそれぞれ2,000万円ずつ相続させる場合。
29,000円(妻分)+ 23,000円(長男分)+ 23,000円(長女分)+ 11,000円(遺言加算)= 86,000円
- 遺言者の戸籍謄本・住民票・印鑑証明書
- 相続人の戸籍謄本
- 受遺者の住民票(相続人以外に財産を遺贈する場合)
- 不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書
- 預貯金通帳の写し
- 遺言執行者の住民票(指定する場合)
書類の取得費用は、戸籍謄本が1通450円、印鑑証明書や住民票が1通300円程度、登記事項証明書が土地・建物1つにつき600円となります。
福岡市では、市役所本庁2階の市民相談室で毎月第2・4金曜日に福岡・博多公証役場の公証人による無料相談を実施しています。公正証書遺言作成前に疑問点や不安な点を相談できるため、積極的に活用することをお勧めします。
公正証書遺言は、福岡市においても最も確実で安全な遺言作成方法です。費用はかかりますが、確実に遺言者の意思を実現し、相続人の負担を軽減できる重要な制度です。専門家のサポートを受けながら、適切な公正証書遺言を作成することをお勧めします。
福岡市で専門家に相談するメリットと選び方
福岡市で遺言書作成を検討する際、専門家のサポートを受けることで確実で有効な遺言書を作成できます。福岡市内には多くの弁護士、司法書士、行政書士が在籍しており、それぞれ異なる専門性と料金体系を持っています。
福岡市では市役所や各区役所で無料の法律相談も実施されており、まずは気軽に相談してから専門家を選ぶことも可能です。適切な専門家のサポートを受けることで、法的不備による遺言書の無効化を防ぎ、相続トラブルを未然に防ぐことができます。
このセクションでは、福岡市での専門家選びのポイントと相談のメリットについて詳しく解説します。
専門家の種類と役割
福岡市で遺言書作成をサポートする専門家には、主に弁護士、司法書士、行政書士があり、それぞれ異なる専門分野と権限を持っています。
弁護士の特徴と役割
弁護士は法律事務全般を取り扱うことができ、遺言書作成においても最も包括的なサポートを提供できます。高度な法律的な判断に基づく適切なアドバイスを行うことができるのは、弁護士だけです。
- 相続トラブルが予想される複雑な案件に対応可能
- 遺留分侵害請求や遺言無効確認訴訟など法的紛争に対応
- 遺産分割調停や審判での代理人として活動可能
- 遺言執行者として死後の手続きを担当可能
- 他の相続人との交渉や調整が可能
司法書士の特徴と役割
司法書士は相続登記や法務局での手続きに精通しており、不動産を含む遺言書作成において重要な役割を果たします。福岡市を中心に年間400件以上の相続相談を受けている司法書士事務所もあります。
- 不動産の相続登記手続きに精通
- 法務局での自筆証書遺言書保管制度の活用をサポート
- 相続手続き全般のコーディネート
- 認定司法書士は140万円以下の案件で簡易裁判所での代理権あり
- 費用が比較的リーズナブル
行政書士の特徴と役割
行政書士は書類作成の専門家として、遺言書の原案作成や関連書類の準備をサポートします。
- 遺言書の原案作成と書類準備
- 比較的安価な料金設定
- 気軽に相談しやすい敷居の低さ
- 公正証書遺言の手続きサポート
ただし、行政書士は、遺言書の作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成のための相談は可能ですが、法律的な判断が含まれる遺言書の作成のための相談を行うことはできません。
行政書士は「遺言書の内容について法律相談に乗る」ことや、「遺言書の執行人になる」ということが出来ません。しかし、作成サポートは可能なので、難しい遺言書でない場合は、行政書士に依頼するのが良いでしょう。
相談タイミングと費用相場
福岡市での遺言書作成における専門家への相談タイミングと費用について、具体的な相場をご紹介します。
- 財産の整理が終わり、大まかな分割方針が決まった段階
- 相続人間でトラブルが予想される場合は早期に相談
- 健康状態に不安がある場合は体調の良いうちに
- 税制改正や法制度変更があった際の見直し時
- 家族構成や財産状況に大きな変化があった時
福岡市での専門家費用相場は?
専門家に依頼する際の費用相場は以下の通りです。
福岡市内の多くの専門家事務所では初回相談を無料で実施しており、まずは気軽に相談してから依頼を検討することができます。ただし、時間には限りがありますし、予約が必要なことが多いので、自分で出来る準備は事前にしておくことをおすすめします。
無料相談の活用
福岡市では以下の無料相談制度を活用できます。
- 福岡市役所本庁・各区役所での弁護士・司法書士無料相談(予約制)
- 福岡市役所での公証人による公正証書相談(毎月第2・4金曜日)
- 各専門家事務所での初回無料相談
- 福岡県司法書士会での相談センター
自分でやるには難易度が非常に高い遺言書作成ですが、専門家に相談することで様々なメリットが得られます。
- 法的要件を満たした確実な遺言書の作成
- 個別の事情に応じた最適な遺言内容の提案
- 税務面を考慮した相続対策のアドバイス
- 相続トラブルの予防と対策
- 遺言執行時のスムーズな手続き
- 家族関係に配慮した遺言内容の調整
専門家選択の判断基準に迷った際は以下の基準で相談先を決めると良いでしょう。
依頼する専門家の業種によって、費用もワンランク、ツーランク上がってくるので、依頼内容に合った専門家に依頼するのがベストです。もし、迷った際は当サイトからでも質問が可能なので、お気軽にご相談下さい。
福岡市での遺言書作成でよくある質問
福岡市にお住まいの方から遺言書作成について寄せられる質問の中から、特に多いものを厳選してお答えします。これらの質問と回答を参考に、遺言書作成への理解を深めていただき、安心して手続きを進めていただければと思います。
福岡市特有の制度や手続きについても詳しく解説しておりますので、地域の情報を活用した遺言書作成にお役立てください。
- 福岡市在住ですが、他県の法務局でも遺言書を保管できますか?
-
はい、可能です。自筆証書遺言書保管制度では、遺言者の住所地・本籍地・所有不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所であれば、どこでも保管申請ができます。福岡市在住の方でも、他県に本籍地や不動産をお持ちの場合は、その地域の法務局での保管も選択できます。
ただし、一度保管した遺言書保管所で原本閲覧や撤回手続きを行う必要があること、2通目以降の保管申請は最初の保管所でしか受け付けないことにご注意ください。福岡市にお住まいの方は、アクセスの良い福岡法務局本局での保管をお勧めします。
- 遺言書は何歳から作成できますか?
-
遺言書は15歳以上であれば作成できます。これは民法で定められており、15歳になれば成年者と同じく単独で有効な遺言をすることができます。福岡市在住の方でも同様で、年齢の上限はありません。
ただし、遺言をする時点で遺言能力(遺言の内容や効果を理解し、合理的な判断ができる能力)が必要です。認知症の進行などで判断能力に不安がある場合は、医師の診断書を取得するなど、遺言能力があることを明確にしておくことをお勧めします。
- 夫婦で一緒に遺言書を作成できますか?
-
いいえ、夫婦であっても一つの遺言書を共同で作成することはできません。民法では「共同遺言の禁止」が定められており、遺言は必ず遺言者一人ひとりが単独で作成する必要があります。
福岡市在住のご夫婦の場合も、それぞれが個別に遺言書を作成してください。ただし、内容を調整し合うことは可能ですので、お互いの遺言内容について話し合い、整合性を保った遺言書を作成することをお勧めします。公正証書遺言の場合も、夫婦それぞれが別々の日程で公証役場を訪問する必要があります。
- 福岡市内で遺言書作成の無料相談はどこで受けられますか?
-
福岡市では複数の無料相談窓口をご利用いただけます。
福岡市役所での公証相談:市役所本庁2階市民相談室で、毎月第2・4金曜日の午後1時から4時まで、福岡・博多公証役場の公証人による無料相談を実施しています(予約制、先着6人)。
弁護士・司法書士相談:福岡市役所本庁および各区役所で、弁護士や司法書士による法律相談を実施しています(予約制)。
専門家事務所:福岡市内の多くの弁護士、司法書士、行政書士事務所で初回無料相談を実施しています。
予約・お問い合わせは福岡市役所市民相談室(092-711-4019)で対応してもらえます。

まとめ
福岡市での遺言書作成は、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを選択しても、適切な知識と手順を踏むことで確実に実現できます。福岡法務局での保管制度や福岡・博多公証役場での作成サポート、さらに市役所での無料相談など、福岡市には充実したサポート体制が整っています。
遺言書作成は決して難しいものではありません。まずは福岡市役所の無料相談や専門家の初回相談を活用し、ご自身の状況に最適な方法を見つけることから始めてみてください。大切なご家族のために、そして安心した将来のために、今こそ遺言書作成という重要な一歩を踏み出しましょう。福岡市の豊富な専門家があなたをしっかりとサポートしてくれます。
